建築家住宅とは

完成後のメンテナンス

時と共に風格を増す住宅は、
お手入れすることで手に入ります。

一般的に注文住宅は、長い時間かけて設計し、また丁寧に工期をかけて建設されます。
完成した瞬間はどんな家もピカピカで美しく感じるものですが、10年、20年後、完成時よりも、更に美しさを増している建物は、そう多くはありません。

問題はおおきく二つあります。

設計そのものが、耐久性、耐用性への配慮にかけている。
つまり、素材や納まりの選択の問題です。

もう一つは、住まい手が『お手入れ』を怠っているということ。
メンテナンスという言葉は、保守、点検というニュアンスを多く含んでいますから、住宅の耐久性能を示すような意味で、メンテンスフリーという言葉を用いるのは、間違いです。太陽光発電など先進設備にはじまり、多くの設備機器、配管、配線を抱える住宅。従って、保守点検は必須であり、ここをフリーに、無くすべきでないことは明らかです。

先述したように、建物の劣化を進めてしまうような設計は論外としても、もし、時と共に風格を増す、あるいは、住まい手とともにほどよく老けて行く、こうした住宅は、お手入れすることで手に入ります。完成までかけた情熱、完成後も忘れずに、わが家をかわいがってあげたいところです。

ここで、どのようにお手入れ、保守点検すればよいのか。
これまであまり重要視されていませんが、竣工後の「お手入れ計画、家守り計画」を専門家とともに立案してはいかがでしょう。3年後、7年後、10年後と、劣化する場所は、建物の特性ごとに異なりますが、概ね共通しています。その専門家として、設計に関わった建築家や施工会社は、主治医のような役割をきっと担ってくれるでしょう。